Meow!
餌の時間になると、君は何処からともなく現れる。
そして上目遣いで、お皿の前で可愛く鳴くのだ。
そうやって飼い主をめろめろにさせるのが得意、そう、それが猫という生き物である。
ソファーに座っていると、とことことやってきて膝の上で丸くなる。
ちょっと相手をしてやると、ゴロゴロとのどを鳴らして甘えてくる。
とっくに用事は済んでいるのだけれど、動かすのが可哀そうで暫くそのまま観察する。
掃除機を使いだすと一目散に逃げだす君。
ソファーの下にいるところを、気付かずに吸われたことが相当嫌だったらしい。
ある日のこと。
母の悲鳴が聞こえた。
何事かと駆け付けると、ちょっと得意げな君。
そして母の前に蛙。
うん、気持ちだけで充分だからね。
兄が来るとさっと姿を隠す。
何故なら彼はとても撫で方が雑だからだ。
兄は可愛がっているつもりなのだが…気持はどうやら一方通行の様子。
実家には一枚の大切な写真がある。
微笑んでいるひいおばあちゃんと、きょとんとした顔の赤ちゃんの私と、相変わらず眠そうな君だ。
あれから幾つも季節が巡って、あの時とは状況が全く変わったけれど、今だってたまに君を思い出す。
よく隣の家の猫と喧嘩していたな、とか
猫なのに、そんなにまたたび好きじゃなかったな、とか。
そんなくだらないことばかりだけど。
あまり昔のことばかり言っていると心配かけてしまうかな。
こちらは大丈夫、なんとか元気にやっているよ。
さぁ、今日も何処かで元気に鳴いておくれ!
Meow!