クロアチア-Lakes
旅行に一緒に行く人は、どんな人がいいのでしょうか。
趣味が同じ人、ペースが合う人。
きっと、人それぞれ心地よい旅のパートナーの形があるかと思います。
私は史跡や美術館巡り、街を歩いて買い物をしたり、現地の美味しいものを食べることが好き。
一方で今回旅を共にした友人は自然と動物をこよなく愛しています。
興味の対象が全く違う私たちは、お互いに行きたい場所を提案しました。
その友人が「プリトヴィツェにある国立公園に行ってみたい」と言ったことからこの旅は始まりました。
自分ひとりの旅であれば、恐らく訪れることのなかった場所です。
その公園、プリトヴィツェ湖群国立公園はクロアチアの首都・ザグレブから車で数時間の場所にあります。
公共交通機関で向かうには少し大変そうだったので、私たちは現地のツアーに参加することにしました。
初夏のまだ少し涼しさが残る早朝。
ホテルに集合し、ガイドさんの運転で現地へ向かいます。
街中を抜け、工場地帯を通り過ぎる頃には、あたりの景色も少しずつのどかな風景へと変わっていきました。
途中で小さな村で休憩を挟み、次第に山の深くへ進んでいきます。
到着すると、すでに多くの観光客で賑わっていました。
チケットを受け取り、いよいよ入場です。
ガイドさんの後について歩き始めて間もなく、最初の絶景が現れます。
目の前にはいくつもの湖。
青や緑などでは表現できない、パレットの上で色を混ぜたような美しい色彩が広がります。
奥にある湖は深いエメラルドグリーン。
手前は湖底が透けて見えそうな、透明感のある水色。
風を受けて水面は静かに揺れています。
ここには高低差が異なる16の湖があり、水が高い場所にある湖から低い湖へ向かって、滝となって穏やかに流れ落ちています。
低く響く蛙の声を聴きながら、さらに奥へと歩いていきます。
静かな湖面。
勢いよく流れる小川。
幅広くゆったりと流れ落ちる滝。
広い公園内で水は様々な表情を見せてくれます。
柵のない細い遊歩道は少し心許ない気もしましたが、その分自然をすぐそばに感じることができます。
中でも特に印象に残っているのは、滝の上から見下ろした風景です。
眼下にはいくつもの湖が重なり合い、滝から立ちのぼる水飛沫が小雨のように辺りを濡らします。
その雫が太陽の光を受けて虹を描いていました。
周囲の山々は、この宝物のような景色をそっと隠すように佇んでいます。
自分の語彙力の無さがもどかしくなるほど、美しい場所でした。
友人がいなければ、私はきっとこの景色に出会うことはなかったでしょう。
自分とは違う「好き」を持つ誰かと旅をすること。
それは、思いがけない新しい何かを見つけることなのかもしれません。
たくさん写真を撮ったはずなのに、あのとき目の前に広がっていた空気や水の音、光のきらめきでは切り取ることができません。
だからこそ、あの日に感じたことを毛糸に託したいと思いました。
この毛糸から、少しでもプリトヴィツェの空気を感じていただけたら嬉しいです。